私が、簿記2級の勉強を始めたのは、2023年6月。そこから1日30分学習を続け、1年かかって2024年5月にようやく1回目の受験で合格できた。
本来資格取得は、効率的に短期間で行うことが良いとされている。
しかし、簿記2級に関しては学習内容をしっかり理解して、試験に臨む必要のある難易度が高い試験。
その難しさゆえに、脱落してしまう人も多いが、ゆっくり時間をかけて取り組むことができれば、グッと合格に近づくことができる。
1年間をかけて簿記2級の勉強に取り組んだ私が、確実に合格するために行なったスケジュール管理や勉強法について解説する。
合格に1年かかっても良い理由
簿記2級の合格に必要な学習時間は、簿記3級を取得している場合で、200〜300時間。期間にして大体3〜6ヶ月程度の学習が必要だとされている。
3か月で合格したいなら、1日あたり3時間程度の学習が必要になる。
簿記2級の学習者のなかには、「部活やバイトで忙しい。」「仕事や家事、育児もある。」「趣味の時間も大切にしたい。」という人も多いだろう。そんな人たちに、簿記2級なんてすぐ取れるよ。というのはそもそも無茶な話になる。
「3ヶ月で合格しようと、スタートダッシュを決めたは良いものの、毎日3時間の学習についていけずに挫折してしまった。」なんてことになったら、目も当てられない。
そうなるくらいなら、ハナから「自分は簿記の知識を身につけて、視野を広げて豊かに生きることが目標なのだから、1年かけてじっくりと学習に取り組もう。」と考えた方がはるかに気楽に学習に取り組める。
1発合格したスケジュール
絶対やらなければならないこと
① 毎日30分は必ず学習する習慣を身につけること | ② 最後の2週間は頑張って毎日3時間学習すること |
1日3時間の学習時間を用意するのは、やはり難しい。
しかし、だからと言って勉強しないで合格できるわけがないのも事実。日々の時間を少し犠牲にすることは必要になる。
私が1年間で継続して取り組んだのは、1日30分の学習を毎日欠かさずに行うこと。
毎日必ず簿記のことを考えながら30分を過ごして、簿記の知識を習慣化していく。
最後の2週間は、過去問を解くから1日3時間は学習する必要がある。簿記2級の試験時間は90分で、答え合わせと復習に30分〜1時間はかかる。
最後の2週間はしんどいが、これで余裕を持って簿記2級に合格することができた。
限られた時間でどのような学習をすべきか
オススメの学習法
1日30分の限られた時間で意識することは、最大効率で学習すること。
エビングハウスの忘却曲線
ところで、ドイツの心理学エビングハウスの忘却曲線という考え方を知っているだろうか。この忘却曲線とは記憶の保持率が時間経過とともにどのように変化するかを示す曲線なんだ。
エビングハウスによると、記憶の忘却にはこのような特徴があると示している。
- 急速な忘却: 記憶した直後から急速に忘れ始め、特に最初の数時間から数日の間に大幅に忘れる割合が高くなる。
- 緩やかな減少: 初期の急速な忘却の後、忘却の速度は次第に緩やかになる。つまり、時間が経つにつれて忘れる速度が遅くなる。
- 反復学習の効果: 同じ情報を繰り返し学習することで、忘却の速度を遅くすることができる。
つまり、この忘却曲線の考え方を、学習に当てはめると、「反復することで記憶の定着率が向上」する。
【エビングハウスの忘却曲線については、このサイトを参照するとわかりやすい】
復習を重視した学習
30分という限られた学習時間でどのような学習をすれば最も効率的なのかというと、昨日学習した内容を覚えていないなら、今日全部思い出せばよい。
1日30分のうちの最初の10分は、「昨日学習した内容の復習」。次の10分は「新しい内容の学習」。最後の10分は「1週間前に学習した内容の復習」。
一度に大量の情報を学習するのではなく、時間を置いて少しずつ復習することで、記憶の定着をはかることができる。
難関論点への考え方
難関論点
簿記2級は、商業簿記のレベルが格段に上がることに加えて、工業簿記もテスト範囲に含まれる。
体感として、3級と比べて試験範囲が3〜4倍くらいに感じられるだろう。その全てを網羅することは難しい。
試験範囲の中でも、難解な論点として、以下のものが挙げられる。
商業簿記 | 工業簿記 |
税効果会計 | 標準原価計算(シュラっター図) |
連結会計 | 各種総合原価計算 |
試験の傾向
簿記2級の試験は大問5問で構成されていて、出題の傾向は以下の通り。
簿記2級試験 | 第1問(商業簿記) | 第2問(商業簿記) | 第3問(商業簿記) | 第4問(工業簿記) | 第5問(工業簿記) |
出題論点 | 仕分問題5問 | 株主資本等変動計算書銀行勘定調整表リース取引
固定資産 有価証券 連結清算表 連結財務諸表 |
精算表財務諸表本支店会計
連結精算表 |
4-1 仕分問題 3問 4-2 費目別計算 個別原価計算 工場会計の独立 直接原価計算 補助部門費の配賦 |
CVP分析標準原価計算直接原価計算
総合原価計算 |
配点 | 20点 | 20点 | 20点 | 4-1 12点4-2 16点 | 12点 |
過去問を見る限り、難関論点は、ほぼ確実に出題されている。
連結会計を捨てても良いのか。
簿記2級の試験を満点で合格することはほぼ無理。1問ミスするだけで4点失うこともあるので、どうやって、最小限の減点で切り抜けていくかが重要になる。
そのため、簿記2級で難関とされる論点を捨てる選択肢はないということを理解しておこう。
工業簿記の難関論点である標準原価計算と総合原価計算のどちらかはほぼ確実に出題されるし、商業簿記の財務諸表では、税効果会計を適用できて当たり前の出題がされる。
また最難関と言われる連結会計も、50%くらいの確率で出題されている。
連結会計は必ず理解して試験に臨むようにしよう。
連結会計がどうしても難しいという人はYouTubeで学習するのが最も理解が早い。パブロフ簿記のチャンネルの連結会計①〜④を、何度か試聴すると、意外と単純な作業をしているだけということに気づくことができると思う。
難しいからと言って、理解をあきらめてしまうと、どんどん点数を失うことになる。苦手な論点は後回しにせず、ゆっくり時間をかけて理解することが大切。
オススメの参考書
オススメの参考書は、 TACのスッキリわかるシリーズ。1日30分の限られた時間で学習するので、必要な情報が厳選されている参考書がよい。
この参考書を読んでよくわからないところは、Youtubeで確認しよう。
おすすめは、「カゼ太郎の”でる簿記” ~最短で受かりたい人へ~」
おすすめ予想問題集
予想問題集も、オススメはスッキリシリーズ。予想問題が9回分とネット試験の問題が5回分で14回練習可能。これをテスト前の2週間でやり終えよう。
あとは、ネットスクールの無料ネット予想問題もオススメ。
最初は合格点に届かなくて当たりまえ
最後の2週間で取り組む過去問。
簿記2級は、3級と同様で70点で合格なのだが、最初から合格点が取れると思ってはいけない。多分1回目は40点くらいしか取れないと思う。しかし、それはなぜかというと、問題に慣れていないからなんだ。
だからまずは、問題形式に慣れることから始めてほしい。仕分はできるんだけど、損益計算書や貸借対照表になると、全くわからなくなってしまうという人も、何度か解いているうちに、解き方を理解できるようになってくる。
1回目は40点、2回目45点、3回目50点・・・と、スモールステップで取り組んでほしい。何度か解いているうちに必ず結果がついてくる。
CBT試験について
CBT試験の場合、試験会場のパソコンを使って、自分の好きな時に受験することができる。(3日前までに予約が必要)
試験料
簿記2級 6,050円
ネットの情報は古いものが多いが、現在のCBT試験料は値上がりしている。
持ち物
顔写真付きの身分証・電卓
ペーパー試験より、持ち物も少なくて済むし、時間に融通がきくので、CBT試験で受けるのがオススメ。
まとめ
簿記2級は、初学者からすると非常に難関に感じる資格である。
しかし、復習を意識しつつ確実に学習を積み上げることができれば、決して難しい資格ではない。
資格取得をゴールにするのではなく、日々の生活に簿記の知識をいかすことができるように、じっくりと理解を深めながら学習を進めてほしい。
コメント