家の中で映画を見るときや音楽を聴いたりするときに、生活レベルを上げてくれるものの1つがヘッドホンだ。
自分はずっとSONYのWH-1000XM4を使っていて、特に不満もなかったんだけど、ふらっと入ったヤマダ電機でBoseのQuietComfort Ultra Headphonesを視聴して、即買い替えを決意した。
なぜ買い替えたのかをレビューしていく。
Bose QuietComfort Ultra Headphonesの特徴
Bose QuietComfort Ultra Headphonesの特徴としては以下の通り。
- 圧倒的なノイズキャンセリング
- 迫力のある低音
- ハイレベルな空間オーディオ(イマーシブオーディオという名称)
- 自然な外音取り込み(アウェアという名称)
- 物理ボタン搭載
文字面だけを見たら、特に先進的に感じるものはない。しいて言うならば、AirPodsMaxにもあるが空間オーディオくらい。だけど一つ一つのレベルが非常に高い。
Bose QuietComfort Ultra Headphonesの詳細な特徴
Bose QuietComfort Ultra Headphonesの詳細なスペックは以下の通り。
項目 | 詳細な特徴 |
重さ |
|
モード |
|
バッテリー |
|
対応コーデック | SBC / AAC |
Bluetoothバージョン | 5.3 |
ワイヤレス充電 | × |
マルチポイント | 〇 |
ノイズキャンセリング | 〇 |
外音取り込み | 〇 |
防水 | IP54 |
操作 | タッチ操作/物理ボタン操作可 |
スペックで見ても特にヘッドホンとしての進化は感じられないが、その真価はやはりノイズキャンセリングの性能とイマーシブオーディオにある。詳しく解説していく。
圧倒的なノイズキャンセリング
だれもが知る通り、Boseと言えばノイズキャンセリングだ。
そもそもBoseがノイズキャンセリングのパイオニアで、Boseの創業者のアマー・ボーズ博士が、飛行機内の騒音をなんとかしようとして、始まったのがノイズキャンセリングという技術。
この分野に関しては、Boseとしても他社に負けるわけにはいかない。
ということで、Bose QuietComfort Ultra Headphonesも、素晴らしいノイズキャンセリング性能になっている。
ヘッドホンをつけた瞬間から、周囲の音がかなり遮断されている。
音楽を再生すると周囲の音はまったく聞こえないといってよい。
映画やドラマなどを試聴しているときでもそれは同じで、セリフとセリフの間に周囲の音が聞こえてきそうなものだけど、ほとんど聞こえない。
この前、国内線の飛行機に搭乗してBose QuietComfort Ultra Headphonesを使用したんだけど、再生している音源の音しか聞こえなかった。
公共交通に乗って頻繁に移動する人にとっては、周囲の雑音に惑わされず、快適にコンテンツに没頭できる。
迫力のある低音
Boseと言えば、という第2のジャンルが低音だ。そしてその低音は、非常に好みがわかれるところ。
自分は、Boseの低音に関して、「ライブ会場で聴いたような音の響き再現している」という感覚があるんだけど、Bose QuietComfort Ultra Headphonesも、特にその評価は変わらず、ライブの音源を聴くときに最も威力を発揮している印象がある。
この特徴を発揮するポイントが、Boseの迫力のある低音で、忠実にライブ会場の音場を再現できているように感じる。
自分として、このBoseの音作りはすごく好みで、聴いていて楽しい。
ただ、逆に言うと、「楽器から出る音の響きを忠実に再現している」わけではない。
表現が難しいけど、どうしてもBoseの音は「作り物」という感じは確かにある。
この音の感じが許せない過度に耳の肥えた層にとっては、Bose QuietComfort Ultra Headphonesは例外なく合わないと思う。
ハイレベルな空間オーディオ(イマーシブオーディオ)
自分がBose QuietComfort Ultra Headphonesに買い替えた最大の理由が、この空間オーディオ。
空間オーディオ機能を搭載しているのは、他ではAirPodsMaxぐらい。(マイナーどころならSonosとかももちろんある。)
そんな、AirPodsMaxの空間オーディオは音痩せがひどくて、ぺらっぺらな音になってしまうのに対して、Bose QuietComfort Ultra Headphonesの空間オーディオは音が細くならず、しっかりとした音圧を感じることができる。
空間オーディオでここまで芯のある音が実現できているのは、おそらく前段で解説したBoseの低音やノイズキャンセリングの効果によるもの。
この空間オーディオ機能によって、もともとライブ音源向きなBoseのサウンドにさらに磨きがかかって、臨場感のある音を実現することを可能にしている。
また、映画やドラマを視聴する際にも空間オーディオの効果で、疑似的な立体音響感が得られる。
この空間オーディオ(イマーシブオーディオ)は、よりBoseらしい音を体験できる機能だと思う。
ただし、低音の話と同様に、自然な空間の広がりを感じるかと言われると、否である。
AirPods Maxの空間オーディオは音の広がりがとてもよくて、ヘッドホンをしているのに、部屋全体から音がなっているような感覚がある。
しかしそれに比べて、Bose QuietComfort Ultra Headphonesは、圧倒的に音の広がりは弱い点には注意が必要だ。
AirPods Max並みの音の広がりを期待して、Bose QuietComfort Ultra Headphonesの空間オーディオを聴くと、コレジャナイと感じてしまうだろう。
Boseの空間オーディオは、音場の広さよりも、音圧を優先したんだろうというところだ。
自然な外音取り込み
外音取り込み機能については、かなり自然に周囲の音を取り込むことができている。
SONYよりも上、AirPodsMaxよりも圧倒的に下、というレベルにある。
SONYの外音取り込みは、イヤホンだろうがヘッドホンだろうが、絶対にサーというホワイトノイズが乗ってしまってすごく不快な外音取り込みになってしまっている。
Bose QuietComfort Ultra Headphonesの外音取り込みは、ノイズが本当にめっちゃ小っちゃく聞こえるんだけど、ほぼ聞こえず、周囲の音もヘッドホン越しにすごく自然に聞こえてくる。
しかし、AirPods Maxならば、本当にヘッドホンがついているか分からなくなるときがあるくらい自然な外音取り込みなので、その点では大敗している。
ただ、通常の使用をする分では、まったく気にならないレベルの性能にはなっていると思う。
使用感としては、Bose QuietComfort Ultra Headphonesを装着し、外音取り込みオンで、なんの音源も流していない状態なら、なにもつけていないときと同程度に周囲の音は聞こえてくる。
音量が1/4程度で、会話ができる程度に聞こえて、1/2まで来ると再生している音源次第では周囲の音が聞き取りづらいか、聴き取れなくなってくるという感じ。
物理ボタン搭載
今や、ヘッドホンの操作はヘッドホンの側面をタッチして行うのが当たり前だが、右を何回タッチしたらあーで、こーで・・・というのは、非常に鬱陶しい。
WH-1000XM4を使用していたときは、たまたま手がヘッドホンに当たっただけで再生停止みたいな状況もストレスだった。
Bose QuietComfort Ultra Headphonesは、再生・停止の操作を物理ボタンを行うため、そんなうっかりストレスがない。
音量の調整はヘッドホンをスワイプすれば行うことできるので、直感的な操作が可能になっている。
物理ボタンのメリットとタッチ操作のメリットのマリアージュ。
確かに物理ボタンって、無いほうがスタイリッシュにはなるんだけど、操作性が圧倒的に悪くなってしまう。
UIが悪いからUXが悪くなる典型だと思う。
その点、Bose QuietComfort Ultra Headphonesはヘッドホン使用時の操作でストレスが少ない。
各社、物理ボタンはやはりつけるべき。
イヤーパットの交換が可能
ヘッドホンの悩みの1つとして、イヤーパッドのへたりがあると思うんだけど、Bose QuietComfort Ultra Headphonesは、簡単に交換が可能になっている。
まったく力を入れなくてもイヤーパッドが取り外せる。かと言って、別にポロポロとれるわけではない。
汚れてもすぐ交換できる。
Amazonでは正規品が4,000円くらいで販売されている。
サードパーティ製のものは3,000円くらい。
イヤーパッドには、裏側に通気口があり、エアレーション的な構造が採用されているので、湿気がこもりづらくなっているから、そもそも長持ちもしそうだ。
イマイチなポイント
バッテリー持ちが微妙
カタログでは、ノイズキャンセリングONのときで連続24時間再生可能となっている。
これでも十分ではあるんだけど、他社のヘッドホンでは30時間くらいの連続再生が当たり前となっているからちょっと短い気もする。
ただ、Bose QuietComfort Ultra Headphonesを使うならイマーシブオーディオモードで常に再生することになると思うんだけど、その場合は、連続18時間再生にまで短くなる。
さすがに、連続18時間しか再生できないとなると、結構バッテリーの減りが早く感じてしまう。
バッテリー持ちという面では、他社製品よりも弱い。
装着感があまりよくない
側圧が結構強い
左右から挟み込まれている圧力は結構強く感じられる。
強いノイズキャンセリングを実現するために必要なのだと思うが、あまりに長時間の装着は耳周辺が痛くなるかもしれない。
重く感じる
Bose QuietComfort Ultra Headphones本体の重量は250gで、以前使っていたSONY WH-1000XM4は254gなんだけど、Boseのほうがなぜか重く感じてしまう。
Boseの重心の問題なのか、素材の問題なのか、側圧が結構強いのが問題なのか。何が問題なのかはまったくわからないが明らかに重く感じる。
SONYの新しいヘッドホンのWH-1000XM5も重さが同じ250gなのに、Bose QuietComfort Ultra Headphonesよりも数十g軽く感じる。
さすがに、AirPods Maxの386gよりははるかに軽くて装着感もよいんだけど、SONYのほうが装着は快適。
折りたたみ構造がユーザーへの配慮ゼロ
Bose QuietComfort Ultra Headphonesは折りたたんで収納することができてコンパクトに持ち運ぶことも可能だ。
しかし、この折りたたみ構造には、一切の配慮がない。折りたたみの構造部分が丸出しなっている。
これによって、折りたたむときに指がはさまるということが起きる。しかも厄介なのが、頭から取り外したときに勝手に折りたたまれて、それで指をはさむことさえある。
かなりの頻度で何気ない動作をきっかけに指をはさむから、さすが不愉快。
SONYのヘッドホンの折りたたみの構造は、滑らかに上手く隠れていて指を挟むなんてことはなかったし、そもそも折りたたもうと思って、その方向に力を加えて初めて折りたたむことができていた。
こんな程度で指をはさむなんてマヌケすぎというBoseの意思を感じる。
価格
円安の影響か、最近のヘッドホンの価格は急上昇している。
Bose QuietComfort Ultra Headphonesも例外ではなく、定価59,400円となっている。
定価が高すぎるのでさすがにAmazonのセールでは、40,000円程度まで割引されているが、それでも高い。
ただ、それはBoseだけではなく、他のヘッドホンも同様で、SONYのWH-1000XM5も定価59,400円で同価格。
ゼンハイザーのMOMENTUM 4 Wirelessで54,890円。
AirPods Maxに至っては、84,800円と1人だけ別次元を行っている。
実売価格は定価から数万円は低いが、それでも十分高い。この価格でも価値を見出せるのかをしっかり考えて各商品を購入する必要がある。
果たして各社の来年の最新作ヘッドホンの価格帯はどうなるのか。
まとめ
よくも悪くも従来通りのBoseサウンドではあるが、空間オーディオの進化によって、Boseが好きでライブ音源や映画を頻繁に試聴するという人には、臨場感や迫力たっぷりにコンテンツを楽しむことができるヘッドホンに仕上がっている。
自分的には空間オーディオの感覚がドはまりだった。また、よく公共交通に乗って移動していて、周りの雑音に振り回されたくないという人にも、非常に満足度の高い製品になっていると思う。
しかし、純粋な音を求める人に対しては、相変わらずBoseは合わないと思う。
また、装着感もよいとは言えないので、長時間の視聴でいつも耳が痛くなるという人にも向かないかもしれない。
自分の用途をしっかりと見極めて購入すべきだ。
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