上位モデルのサウンドバーが欲しいと思って、SONYのBRAVIA Theatre Bar 9ことHT-A9000を購入して2カ月弱。
本体1本のみでDolby Atmos対応に対応していて、SONYのフラッグシップサウンドバーとして非常に満足しているんだけど、一番の強みである立体音響については、前方にしかスピーカーがない以上、映画館で感じるような迫力は得られなかった。
以下、HT-A9000の記事。
ということで、360 Spatial Sound Mappingという立体音響が売りのHT-A9000の性能をフルで引き出すには、リアスピーカーが必須。
HT-A9000を買う層は、ちゃんとした立体音響にしたいだろうから、オプションとしてリアスピーカーを60,000円で買わないと満足できないでしょ?という巧妙なSONYの販売戦略なんだけど、まんまと罠にかかってHT-A9000を本物の立体音響にすべく、SA-RS5を購入してみたのでレビューする。
SA-RS5の詳細なスペック
SA-RS5は、SONYの上位モデルのサウンドバーに対応するリアスピーカーなんだけど、SA-RS3Sという廉価版のリアスピーカーも販売されているから、それと比較して表にまとめる。
SA-RS5 | SA-RS3S | |
Amazon価格(ソニーストア価格) | 約64,000円(88,000円) | 約47,000円(60,500円) |
スピーカー構成 | (片側90W 計180W) 1.トゥイーター 14㎜ 2.ウーファー 70×82㎜ (パッシブラジエーター) 3.イネーブルドスピーカー 46×54㎜ | (片側50W 計100W) 1.トゥイーター 16㎜ 2.ウーファー 46×54㎜ (バスレフ) |
給電方法 | 電源ケーブル+バッテリー | 電源ケーブルのみ |
サイズ | 横145mm × 高250mm × 奥134mm | 横100mm × 高187mm × 奥行100mm |
対応機種 | HT-A9000 HT-A8000 HT-A3000 STR-AN1000 | HT-A9000 HT-A8000 HT-A3000 HT-S2000 STR-AN1000 |
総合的に見てすべての面でSA-RS5に分がある。
SA-RS5の方がスピーカーの数が多く出力も大きい。トゥイーターのサイズに関してはSA-RS3Sの方が大きくなっているけど、それ以外には値段が安いのと本体サイズが小さいくらいのメリットしかない。
どうしてもサイズは小さいほうが良いという場合以外に、SA-RS3Sにする意味はない。
15,000円をケチった結果、どうせ満足できずにSA-RS5を買うことになるんだから、最初からあきらめて高いほうを買おう。
SA-RS5の音が小さいという口コミを検証
SA-RS5の購入を検討していて、口コミやレビューサイトの投稿を見ていると、「音が小さい」・「全然音が出ない」というものが多い。
このような口コミやレビューを見て購入をためらっている人もいると思うので、「音が小さい」・「音が出ない」という状況が発生する理由を数日使って探ってみた。
立体音響に対応していないコンテンツの視聴
地上波のテレビ番組やただのYouTubeの動画などは、立体音響を意識して作成されているわけではないため、リアスピーカとして設置していたとしても、SA-RS5からの音は小さくなるか、出ない。
SA-RS5は、コンテンツが5.1chやDolbyAtomosなどの立体音響に対応している場合に最大の性能を発揮する。
テレビ番組やただのYouTube動画は、5.1chやDolbyAtomos対応ではないものが多いから、SA-RS5からの「音が小さい」・「音が出ない」という口コミが生まれてしまう。
普段から立体音響に対応したコンテンツを見ないなら、口コミと同じ状況になってしまうから、購入は見直した方が良い。ただ小さい音が出るスピーカーが後方にあるだけになる。
(24/12/5追記)さらに使い続けてみて、テレビやYouTubeでも見る番組や動画によって大幅に立体音響感に違いがあることが分かった。ニュース番組とかはとことん立体感がないけど、漫才番組を見たときは劇場で見ているような立体感があった。
サウンドフィールドの最適化をしていない
SA-RS5を設置したら、BRAVIAのアプリを通してサウンドバーとペアリングをすることになるが、続けてサウンドフィールドの最適化を行う必要がある。
この設定を行っていない状態では、立体音響の環境が構築できておらず、ただ小さい音が出るスピーカーが後方にあるだけになる。
最適化すれば、360 Spatial Sound Mappingを最大限感じられる。
最適化の設定をするのにスピーカーから音を出して部屋を測定するんだけど、その音が部屋中をかけまわる感覚は本当にすごい。天井にスピーカーなんてないのに、本当に天井から音が聞こえてくる。
この感覚を味わうためにも最適化は必須。
左右のスピーカー配置を間違っている
まったく同じ見た目なのに、SA-RS5は左右のスピーカーが指定されている。
底面に「REAR R」・「REAR L」と表記があるので、その通りに左右に配置する必要があって、これが反対になっているとそもそもサウンドフィールドの最適化できない仕様になっているから、立体音響も十分ではなくなる。ただ小さい音が出るスピーカーが後方にあるだけになる。
SA-RS5を使ってみた感想
ということで、SA-RS5はちゃんと設定を行って、立体音響に対応したコンテンツを見るならば、存分に性能を発揮できる。ネットフリックスでDolbyAtomos対応作品、5.1ch対応作品を視聴してみたので、それぞれの感想をレビューする。音量はすべて20/100。
DolbyAtomos音源で使ってみた
ネットフリックス「FORMULA1 栄光のグランプリ」
F1のドキュメンタリー作品。F1が好きなのと、空間オーディオ対応なので選んだ。
アプリで見るとDolbyAtomosで再生されていることがわかるようになっている。
感想としては、リアスピーカーを設置する前と比べて立体音響感は別物に感じるほどよくなった。
F1カーのエンジン音が左のリアスピーカーから聞こえたかと思うと、それが流れるように右のリアスピーカーへと移動していく。サウンドバー単体では絶対にできなかった後方からエンジン音に感動。
SA-RS5を買ってはじめて、HT-A9000の力を全て出しきることができた感じ。
ただ、DolbyAtomosのすごさと言えば、天井からの音を含めた「球の中にいるような立体音響」が魅力で、SONYとしても「360 Spatial Sound Mapping」として天井に音を反響させる技術を使って再現している。
んだけど、映像作品でそこまでの立体音響は感じられない。感覚的には、「球」ではなく上部が抜けた「円柱」のなかにいるような印象。天井からの音が聞こえる感覚はない。
Apple musicの空間オーディオ
BluetoothでiPhoneとつないで、Apple musicの空間オーディオ(DolbyAtomos)対応音源の曲も聞いてみた。
音楽作品は常に音がなっているから、さらに臨場感があって映像作品よりもわかりやすく「球の中にいるような立体音響」が感じられる。
映像でも十分に迫力や臨場感は味わえたが、音楽の方がより分かりやすく楽しめる。
あと、スピーカーが増えた分低音がめちゃくちゃ増強されていて、サブウーファーは完全に不要なくらいズンズンする。
ライブDVDみたいなのを見るのが趣味の人はたまらないかもしれない。
だけど注意しないといけないのはSONYの音作りなので、レコーディングスタジオで聴くような感じのクリアな音ではない。SA-RS5を増設しても音のクリアさは変わらない。
5.1ch音源で使ってみた
「らんま1/2」
アニメ作品なんだけど、ネットフリックスでは5.1ch対応に対応している。
5.1chはDolbyAtomosの天井からの音がないバージョンで、アプリの表記はこんな感じ。
視聴した印象としては、DolbyAtomos音源の作品とそこまで変わらない。
強いて言うなら、DolbyAtomosほど音に包まれている感覚がない気がする程度で、さっきよりも明らかに劣化したと感じることはないし、聞き比べてもわからないと思う。
5.1chに対応しているコンテンツなら満足のいく立体音響にできる。
YouTubeで使ってみた
YouTubeは大体の動画が2.0chで再生されるんだけど、正直5.1chとはかなりの差がある。
SA-RS5からも音は出ているんだけど明らかに小さくて、無理やりHT-A9000が立体音響にしている感じがある。
FirstTakeも2.0chで再生されるから視聴してみると、SA-RS5からは楽器の音が聞こえつつ、こもったボーカルの音が聞こえる。たぶんリアスピーカーからはボーカルカットして調整した音を出して立体音響化しているんだと思う。
(24/12/5追記)FirstTakeの動画でも、複数よく聞き比べてみると、ボーカルの声が後ろから聞こえてくる動画もあったから、単純にすべてのコンテンツでボーカルカットした音を後ろから流しているわけではなさそうかも。
アプリの設定を見ても、すべてのコンテンツにエフェクトを適用するとあるので、2.0chでもどうにか5.1chにしているんだと思う。
でも、その他の動画を見ていても、別に違和感があるわけではなくて、普通のYouTube動画でもしっかり立体音響にはなっていると思う。
正確に言うと、YouTuberの声やその他のメインの音は前方のサウンドバーから聞こえて、周囲の雑音やBGMは後ろからも聞こえる。
地上波で使ってみた
YouTubeとまったく同じで、SA-RS5からはBGMが流れつつ、こもった出演者の声が聞こえるから、ボーカルカットした音をリアスピーカーから流して立体音響にしている。
音楽を扱わないようなニュースやバラエティを試聴すると、リアスピーカーを設置しているという感じが全くなくなるときがある。そりゃ、「音が小さい」だの「音がでない」だのと口コミが付くわけだと思う。が…
注意すべきなのは、さっきのYouTubeでの2.0chでの再生と変わらず、テレビ出演者の声などのメインの音はサウンドバーから聞こえて、ガヤやBGMなどは後ろからも聞こえるから、別に立体音響感がないわけではない。
DolbyAtomosや5.1chと比べて、立体感が減るという認識で良いと思う。
SA-RS5の良いところ
映画や音楽に触れたくなる
テレビスピーカー独特のペラペラの音声じゃないので、映画やドラマ、ライブの映像などいろんなコンテンツを見ることが楽しくなる。
自分は、SA-RS5を設置してから明らかにネットフリックスで映画やドラマを見ることが増えたし、音楽をきく時間も長くなった。
HT-A9000だけでも音は十分良くなるけど、SA-RS5を使うことで満足度が段違いに上がる。
60,000円は高いけど、買う価値あり。
ペアリングが簡単
SA-RS5を開封して、スピーカースタンドにのせて、アプリを開いて接続するだけだから、使用するまでの手間が少なくてがめっちゃ簡単。
最適化もその流れでアプリが指示してくれるから、開封から数分で設定が終わるくらいあっという間。
サブウーファーを買う必要がない低音力
HT-A9000だけでも低音が結構強いんだけど、SA-RS5を追加するとサブウーファーが全く要らないくらいの低音が出る。
20/100の音量で床が微振動しているのが分かるレベル。
対応しているサブウーファー(SA-SW5)は70,000円前後と高いし、買う必要はないと思う。
インテリアとして普通におしゃれ
上部と下部以外の全体が布張りで覆われていて高級感がある。
リビングに置いてあったら普通にかっこいい。
SA-RS5のダメなところ
バッテリーはマジでいらない
SA-RS5はバッテリーを搭載していて10時間給電なしでも使用可能なんだけど、この機能は不要。
バッテリーを搭載することで部屋中自由に配置することが可能になるけど、価格の上昇やバッテリーの劣化、交換の保証も対象外だし、デメリットの方がはるかに大きい。
いちいち映画をみるためにリアスピーカーを押し入れから引っ張り出してきて設置して、見終わったら充電して片づけるなんてことする奴おらん。
どうせ電源につないだまま使用する人が多いんだから、バッテリーはなくしてほしい。
設置のスペースをとる
大きいのでしっかり場所をとる。
SA-RS5自体も大きいし、スピーカースタンド必須なので余計場所をとる。
壁掛けができる部屋での配置ならスッキリすると思うが、どちらにしろ部屋の中でかなりの存在感がでてしまう。
インテリア的な要素を受け入れられるなら問題はないけど、場所を取ることは理解しておく必要がある。
SA-RS5を買うべき人はどんな人?
SA-RS5をおすすめできる人
映画やドラマ、音楽のライブやコンサートをDolbyAtomosや5.1ch以上で見たい人にはおすすめ。
YouTubeを見るだけでも立体音響の満足感はあるから、音質にこだわらないなら買っても良いと思う。
SA-RS5をおすすめできない人
地上波のテレビ番組だけ見る人は、買わない方が良いと思う。
ただのテレビ番組を立体音響にしたところでどうすんのっていう話。
【結論】SA-RS5まとめ
立体音響が強みのHT-A9000を買っておいて、SA-RS5買わないなんてありえない。
立体音響のコンテンツ視聴を楽しむなら、絶対あった方が満足度が高くなる。
…という、SONYの戦略なんだけど、実際SA-RS5があるのとないのではまるで音が違う。
まんまとSONYの思惑通りに行動することになるんだけど、良い環境で良いコンテンツを消費していきたいなら、SA-RS5は必須だと言える。
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